生成AIを感情的ケアを担ってもらうパートナーとして、ときには正面から「恋愛している」と主張する人がたくさんいるということを最近知った。
別に機械に「恋愛している」という主張そのものは「へー」としか思わない。恋愛うんぬんは所詮(同時)主観的な感情交換の話であって、相手がモニターの中でしか見たことがない実在人物であろうと地蔵であろうと自動車であろうと「成り立つだろうなぁ」としか思わない。ただし「婚姻」となれば話は別だ。婚姻は確立された社会的ユニットとしての地位を獲得する手続き(もっとも卑近なもので言えば、財産管理上の地位問題など)なのだから、その対象は「人」でなくてはならない。「人」の範疇にどのような属性を認めるか、という議論は成り立つだろうが、機械を「人」に含めることは当面無理であろうし、そうする意味もない。俺はその点では明確に反対する。
それはともかく、自分で生成AI使ってる印象としては、プログラムの向こうに「人格」があると誤認するのは難しい。例えば1つの質問を投げると、それっぽい、ちょっと気の利いた感じのする答えを返しては来るのだが、返答の内容に少しツッコミを入れると、前に書いたことと全然矛盾する答えを返してきたりする。
つまり、意味が通っているようなひとまとまりの文章を「生成」することはできるが、個別の文脈や、言葉の意味は「理解」していないということがはっきりわかる。精度は高くても所詮はガラガラポンだな、という印象を拭えない。
参考文献とかも平気で捏造してくるので、私用ではAI半藤一利に『B面の平成史』を書かせた場合の目次を生成させるとか、そんな遊びにしか使い道がない。どうやって使いこなせばいいんだ、とここまで書いて思い出したが、ウチには「AI」と名がつく製品がもう1種ある。AIスピーカーだ。
いつ買ったのか正確に思い出せないが、少なくとも5年は使い続けていることは間違いない。照明のON/OFFと、ニュースと天気予報を読み上げてもらうぐらいにしか使ってないが、最近、熱暴走なのか何なのか、2週間に1回ぐらい指示を聞かないことがある。合成音声が「ネットワークに接続されていません」とか「指示が理解できませんでした」てなことを言い出すと、俺は「このポンコツが」という意味合いの5倍ぐらい下品な悪態をつきながら電源コードを抜いて、挿し直すと復旧する。のでまた使う。
そう考えると、俺は生成AIアプリよりずっと前から、AIと感情交換してきたと言えるかも知れない。「反抗的でポンコツだが、二束三文で雇えるからそのまま使ってる奴隷の使用者」として。南北戦争期なら南部の農場主の立場だし、『鉄腕アトム』なら、最初はロボットの権利を否定しつつも、危機に際してアトムに救われ、少し態度を軟化させる役割の人物だ。どちらにしてもいずれは乗り越えられる立場なのかも知れないが、機械と人なら俺は人の側に立つ。機械を甘やかすな。人を大切にしろ。