カレーの大晦日

大晦日。外出するために玄関を出たら、カレーの香りがプンと漂ってきた。同じ廊下を共有するどこかの部屋でカレーを煮てるに違いない。年末年始のごちそうもあるけど、カレーもいいよな。寒い季節だから痛む心配も少ないし、年越しそばをカレー南蛮にするのかも知れない。

「おせちもいいけどカレーもね」というCMコピーもあるけど、しかしおせち料理のダジャレ、もとい由来の論法に沿って考えると、カレー→辛え→つれえ、となってあまり縁起がよくない感じがする。

でも「ダジャレ、もとい迷信なんかに負けず、俺たちは食いたいものを食うんだ!」という強い意思表示かも知れない。迷信に勝つ! という思いを込めてトンカツも揚げてるかも知れんね。いやこれもダジャレか。迷信は討ち果たしてもダジャレ思考からは逃れがたい。ダジャレ思考は人間の潜在思考に巣食う心理的バイアスなのだ。

人類は二足歩行によって大きな脳を手に入れ、言語の象徴化・再現前化作用を獲得し、ダジャレを獲得した。せいぜい数十年か数百年の歴史しか持たない料理の迷信は倒せたとしても、人類史百万年の背骨に埋め込まれたダジャレを切り離すのは容易でない。むしろ象徴性を人類文化の建築資材と考えれば、人類史のミソはダジャレにあると言ってもいいだろう。

講演を聴いていたオーディエンス一同「Oh! ミソか!」(スタンディングオベーション)