読書日記

救急車のサイレンが鳴ってたなと思いながら角を曲がったらバニラトラックが停まっていた。(国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。)

チャールズ・アッシュマン著/新庄哲夫訳『キッシンジャー』という文庫本が安かったので買って読み始めたのだが、序章から第一章が終わる25ページまで、ほとんどヘンリー・キッシンジャーの下半身の話題しかない。期待していなかった下種の不意打ちを受けると何だか嬉しくなってしまうな。

序章で著者はとある大学の法学部長を務めたことがあるというプロフィールをちらりと示しているのだが、マジかよ、どう見てもタブロイド雑誌記者の文章だろうよ、と思い、著者の情報がないか検索してみたのだが、ほとんど出てこない。訳者あとがきに何か情報がないかと思って開いてみたら

チャールズ・アッシュマン氏(一九五三 ― )の『キッシンジャー』はそうした”外交以前”の部分に照明を当て、多難な人間形成の軌跡をたどっているのである。

とあり、マジかよ、アンタこの本の原著は1972年に出版されてると自分で書いてるけど、となると著者は19歳で現役のアメリカ大統領補佐官の評伝をまとめあげ、しかもそれ以前に大学の法学部長を(それよりさらに前に下院議員秘書も)務めた人物ってことになる。キッシンジャーを向こうに回す傑物じゃないの。何でこんな著者の情報が全然検索に引っかかってこないの……ってそんなワケあるか! 訳者も編集者も仕事が雑すぎるだろうが! 序章の著者のプロフィールも、著者が聞いた話を著者自身の話として訳し間違えてるんじゃなかろうか? という疑念すら起こってくる。

著者も訳者も編集者も全員うさんくさい本をつかんでしまった。うれしくてワクワクしています。